やさしくありたい

振り返るとこの3ヶ月は、絡まった糸が少しずつほぐれ、かと思えばまた別のところで絡まり、の繰り返しだった。 次男の誕生直後、長男はどこか緊張していて遠慮がちで、あんなに「ママ、ママ」とはりついていたのに、呼んでも「いいの」と言ってなかなか来なかった。でも本当はわたしの胸にとびこみたかったはず。そんな2歳児の複雑な想いを100パーセント受け止めていたのは、育休をとった夫だった。 今回は、役割分担を明確にした。私は新生児、夫は長男の相手に徹するというふうに。 自宅出産で、産後もかいがいしく母子の世話をした前回とは違い、赤ん坊との接点が極端に少なかった夫はちょっぴり困惑気味で「家族が増えた実感がわかない」と漏らしてはいたけれど。その埋め合わせは、今後いくらでもできるのだ。それよりも、今この瞬間、心のよりどころを求めていた長男を優先してもらうことにした。

 

衣食住すべて、特に毎日のお風呂を共にすることで、ふたりの信頼関係がはぐくまれていく様子は本当にすがすがしいものだった。存分に遊びおしゃべりを聴いてもらい、満たされている息子を見ると私もうれしかったし、安心して次男を抱き続けることができた。 ただ、この役割分担が定着すればするほど、よぎるようになった不安がある。それは必ずやってくる夫の育休明けだ。息子と私、どちらにとっても心のよりどころだった夫がいなくなる。ほとんど赤ん坊だけみていればよかったのに、いきなり二人をみながら家事をする……?一体どうしたら良いのだろう。想像がつかない。怖い。 そんな心持ちのまま迎えたその日は、夫の「いってくるね」に長男が激しく泣いて抵抗することから始まった。かと思えばこちらには不自然な作り笑いをしてくることに、地味にショックを受けた。が、きっとただの鏡で、私が必死で作り笑いをしていたのだろう。夕方に向かうと私は軽いパニックに陥り、苛々して長男にあたり、心身ともにズタボロになった。何の修行か、と思った。 翌日も、まだ暗い時間に夫は身支度をしている。ああ、行ってしまうんだ。どうしよう。授乳を終えて茫然とベッドに腰掛けていたところへ「いってくるね」と腰をかがめて来てくれた夫に、思わずしがみついた。子どもたちの寝息に、夫のささやき声が重なった。

 

「いちにち れいこさんが やさしくあれますように」

 

その瞬間、込み上がってくるものを抑えるまもなく、しゃくりあげて泣いた。

 

やさしく。 やさしく……。

 

そうあれない自分が苦しい。 大変さはわかるけれど仕事に行かねばならない夫の、せめてもの祈り、それが「妻が今日一日やさしくあれること」だと思うと、切なくてたまらなかった。

あれから1ヶ月半。 号泣する次男に「ごめんねー、待っててねー」と言いながら、母を独り占めしたい長男を膝にのせて絵本を読みつつ、こっそり次男の胸や頬に手をすべらせるのにも、 授乳しながら食事をしたり片手でたどたどしくパソコンのメール返信をしたりするのにも、 ふたりが同時に泣き叫んでどうしようもなく7キロと13キロを両腕で抱きながらあやすのにも、だいぶ慣れてきた。 家事と、息子たちそれぞれの欲求と、自分の欲求とのバランスの取り方はいまだ模索中だ。それでも、少しはたくましくなったと思う。

授乳中、離れたところで長男がひとり遊びをしながら「トトとママは、なかよし〜」と口ずさむのが聞こえた。少しの照れくささと誇りを、ぎゅっと抱きしめた。

(つづく)

サンタになりたい

子どもがお世話になっていた保育園から 「サンタになって欲しい」と頼まれた。しかし あのでっぷりした体系とはほど遠く ヤセッポッチの私である。色黒で あの優しい笑顔もない。あるのは 白髪交じりの無精ひげだけだった。子どもの頃から 偽物サンタをどうにも好きになれず むしろ気持ち悪いとさえ思っていた私。「子どもをだます役は 引き受けられません。」ストレートに一旦はお断りしたが しつこく食い下がられて引き受けることにした。条件は 「赤い衣装をお借りし白いひげを顔隠しに使うがお腹にクッションを入れて体型をカモフラージュすることはしない」そして「私は声を出しません」だった。

季節ともなればあちこちで 絵本にあるままの偽物サンタに出会っている子どもたち それに今時の子どもたちのこと どうせしらけた顔で もしかしたら罵声を浴びせてくるかもしれないと覚悟していた。

マントルピースの作りものに隠れ 出番を待ちながら「何か面白いことが出来ないか」と考えた末 「煙突から入るんだから お尻から登場してやろう」と決めた。後は「どうにでもなれ」だった。


先ずお尻をしっかり見せ もぞもぞと動くと子どもたちの狂喜な歓声と笑いが起きた。 私は ゆっくりとその場に後ろ向きのまま立ち上がり 歓喜がすこし納まるのを待った。 ザワザワしている子どもたちの方に ゆっくりと向きを変えた。大変などよめきを隅から隅までゆっくりと見渡した。立ち上がって手をたたく子 何度も万歳をして椅子を蹴飛ばす子 奇声が止まらない子 子どもたちの興奮に私は驚いたジェスチャーを見せ 手を広げて会釈をし 大きな白い袋を引きずり 子どもたちの方にゆっくりと歩き近づいた。

「サンタさんが みんなの元気にビックリしていますよ〜!」「さあ〜 拍手で迎えましょう〜 今日は サンタさんが みなさんにプレゼントを持ってきて下さいました〜!」保育園の先生が 満面の笑みで話しかける。拍手の後 シ〜〜ンと一瞬静まり返った。「今だ!」私は 端の子どもから順に 白い袋からプレゼントを手渡し 頭に手を置いた。「いい子だね 可愛いよ」言葉にはしなかった。

顔を赤らめて「ありがとう」とニッコリの女の子。次の男の子は 小さなプレゼントの箱を手に神妙な顔でじっと私の目を見た。次の子も そして次の子も・・・。一人ひとり 頭に手を置く私を じっと見返した。何故か みんな静かになった。私は その部屋の静かさに緊張した。ジワ〜と出てくる汗を感じていた。子どもの輝く目に負けじと でも一生懸命優しい目で応えながら 偽物サンタを恥じた。その場から逃げだしたい気持ちをグッとこらえた。


「じゃあね〜〜 バイバイ〜〜 ホーホー!」子どもたちに背を向けた瞬間 声が出てしまった。
みんなに笑いが戻った。その笑い声 あれこれ話す子どもたちの声を背に 私は倒れそうなくらいに疲れていた。
「あんな子どもたち 初めて見ました。」
「大成功! ありがとうございました。」
「いえいえ すみません 時間がかかってしまって・・・」
「いえ〜 素敵でした。」

「子どもたちにとってのサンタは ただプレゼントを配るお爺さんじゃない」と確信した瞬間だった。
「本当のサンタになりたい」と 真剣にそう思った。

-お子さま連れOK!-てとてlive

てとてlive「南の島に雪がふる」

久しくliveなんて行ってないという方。
liveに行ったことない方。

生歌、生演奏聞きに行きませんか?

今年、奄美で100年ぶりくらいに雪が降ったそうです。
南西諸島の歌やChristmassongでそんな情景を思い浮かべながら癒しのひとときを過ごしませんか?

-えぐさゆうこ(vo.)-
屋久島にルーツを持つ歌い手の「えぐさゆうこ」さんは、屋久島や奄美大島の歌や伝承者のいない無人島などの歌を唄い継ないでいます。

【定員】
20名

【申込み】
①お名前②参加人数③連絡先をお電話又はメールにてお申込みください。
※Facebookイベントページの参加ボタンでは、正式なお申込みとして受付いたしません。